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【Jクラブで働く卒業生】テクニカルスタッフとしての働き方<FC町田ゼルビア 井上尊さん>
JAPANサッカーカレッジ卒業後、Jリーグクラブで活躍する卒業生を紹介します!
今回は、【FC町田ゼルビア:テクニカルスタッフ】として働く、サッカーコーチ研究科卒業生の井上尊さんにお話を伺いました。
井上さんのサッカーキャリア
2021年3月 広島県/崇徳高校 卒業
2021年4月 JAPANサッカーカレッジ サッカーコーチ研究科 入学
2023シーズン – 2024シーズン アルビレックス新潟 トップチーム テクニカルスタッフインターンシップ
2025年3月 JAPANサッカーカレッジ サッカーコーチ研究科 卒業
2025シーズン – FC町田ゼルビア トップチーム テクニカルスタッフ
現在のお仕事の内容は?
トップチームの分析は4人で役割分担をしていて、私はセットプレーの守備についての分析を担当しています。分析した内容をGKコーチと確認し、資料を作成してミーティングでチームに伝えます。チーム全体として、勝利への意欲がとても強く、分析担当としても妥協することはありません。スタッフ・選手全員で勝利に向かって貪欲に動いていると思います。監督からも、「どんどん意見を言ってほしい」と言われていて、勝利に向かって全員で突き進めるクラブに、キャリアの1年目から携われているのを嬉しく思っています。
クラブとして勝利へのこだわりはすごく感じられるのですが、いい意味で年齢の隔たりなくコミュニケーションを取れていると思います。最年少の自分の意見も聞いてもらえるし、相談もできるし、優しく声をかけてもらうこともあります。クラブの雰囲気はとてもよく、上を目指す集団としてまとまっているように感じます。それは、在学中にインターンシップに行っていたアルビレックス新潟も同様でした。それぞれの仕事に責任感を持って取り組んでいて、理不尽に責めたりすることもなかったですね。ゼルビアでも同じように感じています。
これまでのお仕事で、印象に残っている出来事は?
次の対戦相手についての分析を監督・コーチに伝えて、その後の練習メニューに、分析内容を活かした対策のトレーニングが加えられ、そしてそれが実際の試合で実行できて成果が出たときは、チームに貢献できた実感があり、とても感動しました。
例えば、CKでショートコーナーが多いチームと対戦するときに、ボールに近い選手をいかに早く捕まえるかが大事なので、その対策を練習でしていたら、実際に失点することなく勝つことができました。守備の面で失点しないようにというところで、自分の責任ややりがいを感じています。チームが勝つことはもちろんうれしいですが、そこでほっとすることはなく、次の試合に向けての業務がすぐに始まるので、シーズン中はずっとハラハラしっぱなしですね。
今は1年目のシーズンの途中ですが、いろいろと難しさを感じています。プレーを分析する段階で、自分で感じる・見えるものがあるのですが、それをすべて選手に伝えると本当に伝えたいことが伝わりづらくなります。コーチや選手から不必要に聞き返されたりすることがないよう、シンプルに伝えることが大事だと思っています。まだまだその部分は足りない部分があると思っています。
お給料やお休みなど、現在の待遇は?
今の時期は1週間に2試合あることも多く、“3日間トレーニングして試合”のペースの繰り返しです。時期によっては休みがなかなか取れないこともありますが、基本的には週1くらいのペースで休んでいます。
勤務時間は、自分はまだ1年目でいろいろと学びたいこと、考えたいことも多いので、朝は他のスタッフが集まる時間よりも早めに出社しています。夜はだいたい19時くらいに作業を終えて退勤します。
ホームゲームの日は、午前は分析用の機材準備で一度スタジアムに行きます。試合後は、GKコーチと試合の振り返りをして、次の試合に向けての準備を行っています。
今は、車で通えるところで1人暮らしをしているのですが、給料は東京での1人暮らしでも特に苦労することはないくらいはいただいています。
JSCでの学びが活かされていると感じることは?
JSCに入学した当初から、『即戦力』という言葉は意識していました。
サッカー業界、特にサッカークラブでは、就職してから新人研修のようなものはなく、すぐに成果を求められるということを、学生のうちから理解して様々な実習に取り組んでいたと思います。実際の現場での空気感や感覚的なところは、テキストや理論だけでは学べない部分だと思うのですが、4年間で実習の数が多かったので、しっかり学べていたと思います。
サッカーコーチ研究科の4年生としてJSCに在籍していた2025年1月から、早期就職でゼルビアに合流しました。3年生と4年生の時のアルビレックス新潟でのインターンシップ経験から、プロサッカーチームの大体の動きと自分がやるべきことはわかっていたので、特に苦労することなくスムーズにチームに合流できたと思います。
Jクラブレベルでは、自分たちのチームの特徴を理解したうえで、分析担当の視点から発展的な考え方を求められるので、それは在学中のアルビッレクス新潟でのインターンシップで学べていたと思います。
JSC在学中のインターンシップや就職活動について
JSC入学当初は、育成年代の指導者を目指していました。
サッカーコーチ研究科の2年生の時に、学内のセカンドチームに帯同してそこで分析を任せてもらったことがきっかけで、分析の仕事に興味を持つようになりました。Jクラブで分析を担当していた板金先生からも、「分析の仕事に向いている」と背中を押してもらえたこともきっかけです。
サッカーコーチ研究科のカリキュラムで、プロサッカーコーチやアナリストになるための基本的なことを学んだうえで、アルビレックス新潟へ2シーズン通じてインターンシップに行きました。実際にJリーグを戦うプロサッカークラブの分析の現場に携わらせてもらって、カリキュラム内で学んでいたこと以上のレベルを求められることは、最初は大変ではありましたが、決して無理とは思いませんでした。実習を見ていただいていたアルビレックス新潟の当時のテクニカルスタッフの方から、Jクラブのサッカーについての考え方を教えていただけたことが大きかったと思います。
インターンシップ学生の立場ではありましたが、プロのテクニカルスタッフの方から、意見を求められて相談されたときに、自分の案が採用されて、それをプロの選手がプレーをして試合もうまくいったときは、すごく嬉しかったし感動したのを覚えています。
ゼルビアへの就職も、アルビレックス新潟へのインターンシップがきっかけでお話をいただきました。
今後のキャリアビジョンは?
今シーズンの個人的な目標は、セットプレーの守備からの失点を限りなくゼロに近づけることです。目の前の試合への対応で、正直なところいっぱいいっぱいになるときもありますが、失点しないための分析を追求していきたいです。
今後も、J1のチームで分析担当としてキャリアを積んでいきたいと思っています。監督・スタッフから、いろんな場面で相談されたり、求められたり、信頼されるアナリストになりたいです。分析の機材も最先端のものを扱って、強いチームで活躍し続けられる人材を目指します。
後輩へのメッセージ
それぞれ目標を持っていると思いますが、JSCの授業はその目標に向かって役立つものばかりです。毎回意欲的に、自分の中で授業や実習の意図を意識しながら取り組むことが大事だと思います。自分は、テーマをもってよく試合を観るようにしていました。
また、アナリストは伝える仕事でもあるので、ジャンル関係なく本を読んで、語彙や伝え方を勉強していました。より大きな目標があるなら、カリキュラム以外にも自分でプラスして勉強しておくと、実際の現場で役に立つと思います。
JSC入学を検討している方へメッセージ
JSCは実習が多く、専門知識を持った先生が常駐しているので、実際の現場で局面に応じた細かいアドバイスをもらえる環境だと思います。他のスポーツ系の大学では、ここまでサッカーに特化して学べる環境はなかなかないと実感しています。
また、アナリストについて専門的に学べるのもJSCならではです。サッカーに特化して、Jクラブのレベルを常に意識しながら学べる貴重な学校だと思います。自分自身、地元は広島県なのですが、学びたいことをここまでピンポイントで学べる学校は他にはないので、遠方からの進学でも迷いはありませんでした。
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